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任意後見のすすめ

  • 執筆者の写真: 元博 大塚
    元博 大塚
  • 2023年6月9日
  • 読了時間: 3分

1 後見とは

 後見とは、法律用語を用いて厳密に定義すると、制限行為能力者を社会的に保護するために、法律行為、事実行為の両面から支援することを言います。

 すごくかみ砕いて言うと、自分で自分のことができない人を色々な側面からサポートすることと言えます。「自分で自分のことができない人」には大きく分けて未成年者と、精神障害等により判断能力が減退した人が挙げられます。そこで、後見制度には未成年者を保護の対象とする未成年後見制度と、精神障害等により判断能力が減退した人を保護の対象とする成年後見制度があります。ただし、未成年者でもちゃんとした親権者がいる場合は後見制度の出る幕はありません。

 少子高齢化が顕著な日本において、今後、成年後見制度の利用者が増えることが予想されます。そこで、この記事では成年後見制度に絞って説明することにします。なお、後見の対象となる人のことを被後見人と言います。


2 法定後見と任意後見

 成年後見制度には2種類あります。一つが法定後見制度で、もう一つが任意後見制度です。

 前者の法定後見制度は、すでに判断能力が欠如した人を対象として、主に親族等が家庭裁判所に後見人の選任の申立てをし、裁判所が後見人を選びます。親族等が後見人に立候補することはできますが、赤の他人(主に行政書士、司法書士や弁護士といった法律専門職)が選ばれることが多いです。

 他方、後者の任意後見制度は、いまだ判断能力に異常はない人が、将来自分が判断能力を失ったときに自分の後見人となる人を、あらかじめ選んでおくという制度です。後見人になる人に特別な資格は必要ありません。任意後見制度の趣旨は、将来的に被後見人となるであろう本人の意思を尊重するというもので、本人がもっとも信頼できると思った人に後見人になってもらうことができます。


3 任意後見のすすめ

 前述のように成年後見制度には法定後見制度と任意後見制度があり、それぞれメリット、デメリットがありますが、まずは任意後見制度の利用を考えることをおすすめします。法定後見制度でも基本的には後見人は本人(被後見人)のために財産管理や身上監護を行いますが、裁判所が介入するため、本人に寄り添った柔軟な対応はなかなか期待できません。

 一方、任意後見制度では、本人が自分の意思で後見人を選ぶことができるため、本人のことを最も気遣ってくれる人に後見人になってもらうことができ、本人の意思に適う対応を期待することができます。ただ、注意しておきたいのは、任意後見制度が利用できるのは、本人に十分な判断能力があるときだけであるという点です。判断能力が失われた状態になってしまったあとでは、法定後見制度しか選択肢はありません。したがって、健康なうちから、将来のことを見据えて行動するということが重要です。


4 まとめ

 本記事では、成年後見制度の概要、そして任意後見制度の有用性について説明しました。

自分が将来認知症等になって判断能力が失われたときのことに不安をお持ちの方は、任意後見制度の存在を頭の片隅にでも置いておかれることをおすすめします。また、任意後見制度の詳細な内容や、手続きの流れなど気になったことがあれば、お問い合わせください。


 


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